生産者訪問:「森のくまさん」(加賀市潮津町)
(2015年9月21日)
加賀市を中心に石川県内で養蜂をされているはちみつ生産者「森のくまさん」を訪問しました。片山津から車で約20分。山中町の県民の森に近い森の中に蜂蜜の採集場がありました。
ミツバチは一斉に決まった花の蜜を採りに行くという習性があります。リーダのようなハチが花の咲いている方角や場所を羽や体の動きなどで仲間に伝えているようで、ばらばらにいろいろな花の蜜を採集してくるということはないそうです。従って、ミツの採集状況を見て、他の花のミツと混じらないようにタイミングを見はからって巣箱を移動させます。
現在養蜂しているハチは「西洋ミツバチ」で、日本の在来種のハチとは違うので別の場所にいるとすぐわかるそうです。春、夏、秋と花の咲いている場所を求めて、巣箱を移動させるそうですが、年によって、花の咲く状況が変わり、昨年と同じ花の蜜が取れず、花の種類が変わることも多いそうです。何の花の蜜かわからず、ハチが飛んでいく方向に行って、何の花か特定しに行くこともあるとのこと。冬季は避難小屋でエサ(主にはちみつ)を与えて、越冬させます。
巣箱の前の籠は、ミツバチの幼虫を狙って巣箱に近づくスズメバチを捕獲する仕掛けで、何匹も入っていました。
ネオニコチノイド系の農薬はハチの神経に影響を与え、巣に戻れなくなるので、農薬が大量に撒かれる田んぼや畑には巣箱を近づけないようにしています。
養蜂家の高井さんと娘さん夫婦の3人で、天然はちみつの生産と販売を行っています。これまで、「養蜂」ということばはあまりピンとこなかったのですが、はちみつの採集現場を見学し、高井さんのお話をお聞きして、「養蜂」の意味がよくわかりました。ハチの様子をみながら必要な対応をすることが不可欠なのです。ハチたちが大切に育てられていることがよくわかりました。
はちみつがハチたちの働きにより、自然の中の花々から集められた貴重なものであることを改めて実感し、大切にいただきたいと思いました。ハチたちがこれからも元気に活動できるような自然環境が維持されることを願うばかりです。
「森のくまさん」のはちみつは11月1回から企画予定です。お楽しみに。 (取材・文責:田村和子)