5月28日㈯、暑くもなく寒くもない、絶好の田んぼ日和の下、金沢市八田町にある金沢大地さんで田植え会が行われました。
今年は、春の田植え、夏の草取り、そして秋の稲刈りまで一連の農作業を体験する全3回の企画で、金沢大地さんにとっても初めての試みです。
初日となったこの日は、これから半年かけて一緒にお米の成長を見守る33名の仲間たちの初顔合わせとなりました。
苗の成長も、稲の収穫も、絶え間なく繰り返される食物連鎖の一過程。「いつも自分たちが食べているお米が、どのように植えられて、
どのように育ち、どのように口に入るのか、そのチェーンを子どもたちに感じ取ってもらえたら」と、金沢大地の中嶋さん。
有機農法でお米を作ろうとした時に、米農家が最もつまづくのが、実は田植え前の育苗です。
苗はとてもデリケートで無農薬栽培が難しく、慣行では殺虫剤や殺菌剤などの農薬が使用されています。
井村さん自身、農薬に頼らない栽培法を確立するまでに、6年以上も試行錯誤を重ねられたそうです。
一通りの説明が終わると、いよいよ、田んぼへ突入です!
金沢大地のスタッフが育てた元気な無農薬の苗を、みんなの手で田んぼに植えました。
今回参加した子どもたちの半分以上が、田植え初体験。

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「わー、ネバネバでお餅みたぃ~」
「気持ち悪いー!!」
「気持ちいぃ~♪」
と、反応はさまざま。
田んぼに足を下ろすと、膝近くまですっと沈むトロトロした柔らかな土。
微生物が豊富な、肥沃な土壌の証です。
除草剤や殺虫剤で生態系を破壊し、化学肥料で養分を補填した硬くこわばった田んぼでは体感できない心地良さ。
食物連鎖が活発な土壌には、スプーン1杯で1億もの命が生きているといわれています。
私たちが目視できる範囲でもアメンボやカエル、クモ、タニシなどが生命活動を繰り広げていました。
予定では「ころがし」の升目に沿って苗を植えるはずでしたが、田んぼに張られたたっぷりの水に、せっかく引いた線はかき消されてしまいました。

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「農業は芸術と近い。自由に、好きに植えていいんだよ!」と井村さん。
各々の感性でのびのびと描いていく苗のライン。
およそ1時間後には、田んぼのキャンバスに芸術的な幾何学模様が浮かび上がりました。

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機械で均等に植えられた田んぼとは少し様子が異なりますが、植えた私たち一人ひとり、田んぼで暮らす生き物たち、そして苗の1本をとっても、全ての命に個性があるのだから、これも良いのかもしれません。
この日植えた苗やそれを見守る子どもたちが、この半年を通してどのように成長していくのか、とても楽しみです。